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誰もがきっと一度は目にしたことがあるこの姿。それはお母さん、あるいはお祖母ちゃんの裁縫箱の中かもしれません。自分で持っているならとても幸せなこと。現在、博多を代表する工芸品の一つである『博多鋏』の技術を伝えるのは、たった一人なのです。 「昔はこの辺はハサミ屋ばっかりやったっちゃけどねえ」。高柳晴一さんは、四代目の鋏鍛冶師。先祖は、江戸時代に博多鋏をほぼ現在の形にデザイン化した安河内宇助の弟子でした。腕を見込まれて商標登録「宇印」を継承。博多鋏の特徴である素朴でしゃれっ気のある「二の字」と「菱紋」の意匠に「宇」の文字が刻印されたものが高柳さんの作品です。一般の裁ち鋏が“重さ”で切るとしたら、博多鋏は“軽さ”で切る感じ。小さな女性の手にもしっとりとなじみ、宙をつかむような軽やかさで布や紙を裁断します。 「おやじは根っからの職人で。どうしたら切れるか、と聞いたら『研げばよかったい』。頭にきてですね、それからなぁんも聞かんごとした(笑)」鉄を叩き、鍛え、研ぎ、40年。素人目にはわかりませんが、高柳さんの博多鋏の構造は「どんどん変わっている」のだそうです。「まだ納得できんとですよ」。 承天寺ゆかりの謝国明が博多に鋏を伝えて約700年。その技術が連綿と受け継がれていること、そしてさらに“進化”し続けていることに感動を覚えます。博多っ子が誇り、慈しむべき、伝統の手技です。
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◎高柳商店 博多総鎮守 櫛田神社のすぐ近くにある住居兼工房は、土間、坪庭、作業場と続く町屋の造り。「西町筋」と呼ばれるこの周辺には、かつて多くの鋏屋が軒を連ねていました。 ■福岡市博多区冷泉町6-28 ■TEL(092)291-0613 |
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